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「もろもろのブログ」 by ケービーズオフィス

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こちらは、だいひょう・岡野が京都を中心に活動する演劇ユニット、ケービーズのブログです。TOPは...www.geocities.jp/kbzweb/

イノセントな演劇(演劇ビギナーズユニット修了公演)

どうも、京都小劇場演劇界の消防団、
ケービーズの岡野です。

夏は、本をたくさん読んで、
お芝居を観はじめました。

昨日観たのは、
京都市東山青少年活動センターの企画、
「演劇ビギナーズユニット」の修了公演、『贋作・罪と罰』。

 ☆  ☆  ☆

今回のビギナーズユニットの公演の率直な感想は、
「イノセント(無垢)」である。
そこにあったのは、
一所懸命で真っ直ぐに演劇に取り組もうとした
イノセントな彼らの熱である。
もちろん初心者であるが故のつたなさもある。
しかし温かな熱に包まれたその芝居は、
観ていて、確かに心地の良いものだった。

ただし、
このお芝居には、
イノセントであるがゆえの限界があったのも事実である。

取り組む姿勢や演技としての技術はイノセントであるがゆえ、
心地いい観劇であった。
しかし、野田作品に描かれる「重さ」を
体感するところまでにはいたらなかったように思う。
きっと彼らは、貧しさが故に人を殺める主人公の姿を、
理想という熱に酔い、その酔いを醒まさせないようにもがく登場人物の姿を、
「イノセントに」理解できていたと思う。
しかし彼らは、そこに描かれた人の心の闇を、
自らの心の中の闇と同じものとして震えていたか、
といわれると、そこまでではなかったのではないか、と。
どこか遠い世界の、フェアリーテール(おとぎばなし)として、
熱に浮かされていたのではないだろうか。

京都の片隅で行われている小さな芝居でも、
世界規模の大スペクタクルでも、
その作品の中にある闇が、演者の心の闇と共振した時、
「熱」がそこから湧き上がる。
その「熱」こそが、演劇の本質だ。
これは一所懸命にやったから出る熱でもないし、
がむしゃらにぶつかって出るものでもないし、
ただ読み解けば出るものでもない。
どう掴むのか、それが演者や演出家の腕の見せ所なのだ。

そしてその「熱」が、観客の心にも「熱」をうつす。
静かな芝居もエンタメも、初心者も大ベテランも、
天才も凡人も関係ない。
その「熱」がうつっていくかどうか、
それがお芝居にとって必要なものだ。

それは芸術にとっても必要で、
生活にも人生にも教育にも政治にも必要なのだと思う。
人の闇を自らのこととして想像する力は、世界を動かす。
それを教えてくれるのが、芝居なのだ。

大きな話になったけれど、
ボクが芝居を観ながら考えたのは、
そんなことだった。
もしかすると、これで芝居にかかわるのが最後になる人がいて、
これから一生芝居にかかわる最初になる人もいるかもしれないのが、
このビギナーズユニットという企画の特徴だ。
願わくば彼らがこの企画を終えて、
「熱」を感じる人になってくれることを期待しつつ、
ボクは劇場を後に、暴風雨の中を帰途についた。

 ☆  ☆  ☆

ケービーズ・岡野
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by kbzoffice | 2011-09-04 18:14 | 1207までの過去ログ